手造りの豆腐においての櫂の必要性

写真は「櫂」という道具です。主な役割は、釜で呉(大豆と水を合わせ磨り潰したもの)を炊く際にムラに成らぬようにこの櫂でかき混ぜます。最新の釜はこの櫂の役目の代わりに、攪拌スクリューと呼ばれる羽のようなものが付いていて電源を使用して自動で呉を攪拌します。便利な世の中に成って参りましたが、それと引きかえに失うものが有ります。それは櫂から手を通して伝わってくる呉の気持ちです。このような事を言いますと、「あるじ、また訳の分らぬ事言ってやがる。」と思われそうですね。簡単に説明しますと、その気持ちというのは炊いていく過程での呉の堅さ柔らかさ、そして乳化具合が櫂を通して手に耳に鼻に目に口に伝わってくるのです。あるじは呉を炊く事が豆腐造りでは一番肝心要な作業だと考えます。(もちろんほかの作業も大切ですよ。)一番大切な箇所を機械に賄って頂いてもちっとも面白くも楽しくもないじゃないですか。と言うと、なんか声が返ってきそう。
「お前んところ
もちろんそうかも知れませんけどそれだけじゃないんですよ。
大切なものは失っちゃいけませんよね。