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「豆腐っていったい何なのだろう?」 【豆腐づくりは科学なのか 2】

「豆腐っていったい何なのだろう?」 【豆腐づくりは科学なのか 2】

「ものつくり」として豆腐を造るにあたり、前記にある、1~4を完璧に
遂行することは不可能でしょう。ですが、少なからずともやるべき事はあります。

「冬と夏を同じでは・・・」
 
 夏場に向かう頃には水温が上昇します。出来るのであれば大豆浸漬水と大豆、
臼にての粉砕時の加水温度はそれぞれ18度以下が望ましいのでは、と思います。
粉砕時の加水に冷却水を使用している方もいらっしゃいますが、
そのような設備が困難な方に当店が行っている方法をお伝え致します。
舟(水槽)を冷却する設備はどこにでも有ると思いますので、その冷水にて
浸漬大豆を冷やします。3度程度の水温でしたら、10~15分程度でよいでしょう。

この場合の臼とはグラインダーを指しております。粉砕時には極力熱が上がらぬよう
工夫することが大切です。特に真夏、水温が30度前後、何も付さない大豆を引いた時の
呉を触ってみてください。この状態は好ましくないものと思われます。

 夏場の豆腐製造では、水温に付いてなにもなさらないと、冬場の製造と同じような
訳にはいきません。夏場は大豆の味や甘さが思ったように引き出せないと、感じる方も
多いのではないでしょうか。特に「炊き」ですが。。。
多くは語りませんが、引き出せない時には、多少の加水を行い、乳化を促進するのも
ひとつの手だと思います。

つづく

「豆腐っていったい何なのだろう?」 【豆腐づくりは科学なのか 1】

「豆腐っていったい何なのだろう?」 【豆腐づくりは科学なのか 1】 

 豆腐造りは、大まかな科学的要素をイメージに変え、頭の中の直ぐ引き出せる
位置にそれを置いて、作業(仕事)を進めていかなければ、良い仕事はできないものと
思います。もちろん、これは「手造り」の上での話です。ライン生産においては
様々な条件の違いを、機械的に一年を通して揃え、科学的な豆腐作りをしているものと
思われます。

 では、その「様々な条件の違い」とはなんなのでしょうか。
1、大豆浸漬水の温度の管理(浸漬時間を一定)
2、臼にて粉砕時の加水温度を一定
3、呉(大豆に水を加え粉砕したもの)にて水と大豆の量が常に均一
4、呉を炊く段階、熱の加え方及び時間を一定
5、豆乳を凝固させる時の豆乳温度の一定
6、凝固剤の一定

と、今、思い当たったものを書きこしましたが、これを揃えた上でも
大豆は生き物で、時間の経過と共に徐々に彼は変化を致します。
それをファジーに制御するには濃すぎない程度の豆乳の濃度だと思います。
要するに大豆から様々な成分を抽出するにあたって、水が一番の乳化促進の
要素でも有るのではないか、と思います。
ですから、科学的に機械で、一年を通して豆腐を均一に作るには、brix15度を超えるような
濃度はできないものと思われます。
(もちろん1シーズン位はブレもなくいけるでしょう。そのブレを治すソフト、もしくは
知能が備われば、上記の限りではありません。)

つづく

「豆腐っていったい何なのだろう?」 【豆腐とにがり 3】

今日は爽やかな感じで過ごしやすいですね♪
桜も真っ盛りです。春なんだなと受け止めておりますが、
懐は真冬、吹雪が吹き荒れております(笑)

【豆腐とにがり 3】

 最近では、この業界(町の豆腐屋)でも「にがり絹豆腐」を造っておられる
若手の方々を、多く見受けております。あるじが、この豆腐を造ろうとしていた
頃は、まだまだ情報が少なく、形に持って行くのに大変苦労しました。
ですが、失敗こそが偉大な糧と成って、それが宝とも言えるでしょう。
高濃度の豆乳をにがりで手寄せする、これを突き詰めて学べば
遅効性の凝固剤、済まし粉(硫酸カルシウム)やグルコノラクトンでも、十二分に
美味しい豆腐をつくり上げることが出来る事であると実感しています。

 にがりを必要以上に美化する為に、もっと言えば「売る手段のため」に
他の凝固剤の事を悪く仰る方を見受けます。例えば、
「グルコノラクトンや硫酸カルシウムは薄い豆乳でも豆腐にすることが可能で
豆腐として固めるのも易しいのです。それに反してにがりは・・・」
なぜ、にがり以外の凝固剤に対して、悪いイメージを植えつける文章を
世界中の人が見ることの出来るインターネットにかがげるのでしょうか。
確かに薄い豆乳でも凝固はするでしょう。その反として、濃い豆乳でも
凝固は致します。そして、薄い豆乳を寄せているとしても、その薄い豆乳は
誰が作っておられるのでしょうか。それは「人」もしくは「人の意思」です。
それらが悪いと言ってしまえば語弊は有るでしょうが、凝固剤のせいでは
決して無いのです。

 濃厚で美味しい豆乳まで造り上げる事ができたのなら、お料理でも十分に
使えるように、凝固特製を活かしたしっかり感のお豆腐も良いものです。
美味しい豆腐で麻婆豆腐はすっごく美味しいもんですよ♪
で、最後に一言だけ
「豆腐にとってにがり寄せが全てではないですが、にがり寄せを学ばなければ他の凝固剤で美味しい豆腐を造る事は不可です。にがりは基本であってそれを十分に学んだ後に、他の凝固剤も試してみてくださいね。」

 と言う事で、豆腐っていったいなんなのでしょうか?
二つ目の答え、「美味しい豆腐の凝固剤はにがりだけではない。」

「豆腐っていったい何なのだろう?」 【豆腐とにがり 2】

4月に入りました。葛飾では桜の開花もちらりほらりと始まったようで、桜並木の通りには明日は、明日は、のわくわく感が溢れているように感じます。

【豆腐とにがり 2】 

 人の揚げ足に喰いつくつもりではありませんが、にがり寄せの謎と思ってしまうフレーズが幾つか有ります。
決してそれらを非難する訳では有りません。愚かな奴の戯言といつもの通りに見逃してやってください。

 様々な同業者のホームページを拝見し勉強させて頂いております。
「にがり寄せは「天候」「気温」「湿度」等により微妙に影響され、豆腐のより具合が異なってしまいます。ですから経験を豊富につんだ職人技が必要・・・」

私の経験から申し上げますと、にがり寄せに生じる誤差(寄り具合が甘いとか辛いとか)は、豆乳の「質」によっておきるもので、前者のような天候・湿度等、あやふやなものからくるものでは無いと感じています。推測するに辺り、どのような事が原因でそうなってしまうのかが計り知れず、あえてあやふやな、例えば
「今日は雨が降って湿度が高いから寄り具合が悪いな。」
と言うような勘違いをなされているような気がします。
豆乳の質が違えば、にがりの量、攪拌の速度や回数、寄せ温度は異なってきますので、それらを補正するがごとく作業せねば、美味しい豆腐にはならないでしょう。

 大豆は生き物ですので、手造りの作業では必ずしも「誤差」が生じます。
それを天候等のせいにしてしまえば腕は上がりません。誤差が生じた時に
何故そのように成ったのかを推測し、その与えられた情況に対する最善策を
身に付け、それらを活かして行く事が豆腐職人として成る道だと、私は考えています。

(【豆腐とにがり 3】 に続きます)

「豆腐っていったい何なのだろう?」 【豆腐とにがり 1】

 【豆腐とにがり 1】

 にがりって何ですか?、と、皆様に問えば「豆腐を固める時に使うもの」と
お答え頂けると思います。豆腐を固める、いや、正確に言うと「豆乳を固める」
でしょうか、その時に使用するものを総称して「凝固剤」と呼んでおります。

 豆腐を造る時に使用する凝固剤は主に、以下のものがあります。
・にがり(塩化マグネシウム・粗製塩化マグネシウム)
・すまし粉(硫酸カルシウム[石膏])
・塩化カルシウム
・グルコノラクトン(ブドウ糖を発酵させ脱水したもの、水に溶かすとグルコン酸に。)

同じ質の豆乳に使用するという事を前提にしても、それぞれ上手に使い分ける事で、
固さや食感、味さえにも変化が有り、各々異なった豆腐と成ります。

絹豆腐を造る事を前提に比較させて頂きますと
グルコノラクトンやすまし粉は、80℃以上の豆乳にも、凝固攪拌が可能で
比較的しっかりとした、固めの絹豆腐になります。
これらと比較して、にがりを用いた場合の特徴は、柔らかめ、豆乳以上の味を
醸しだす、と言ったところでしょうか。
もうひとつ言わせて頂きますと、豆乳を極力低温でにがりの量を幾分多めに
凝固攪拌はゆっくりと寄せてあげますと、風味、味、そして食感もよい絹豆腐に
なるようです。

 しかし最近では技術の進歩からでしょうか、乳化にがりなるものも登場し
高温にがり攪拌が可能と成り、固くしっかりとした、絹豆腐も作られているようです。
科学が凝固特性さへも変えてしまった事、なんだか悲しい事のように思えてなりません。

にがり参照ページ→にがりの知識 吉川商事さま
プロフィール

あるじ@気合豆腐

Author:あるじ@気合豆腐
東京は葛飾にある町の小さな豆腐屋の店主(あるじ)です。
気合豆腐 埼玉屋本店

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